2020年6月10日、私は自分の1日の予定をこう書いています。
💡 ◆6/10(水)学習戦略 ① 朝カツ 日経新聞流し読み/投資情報チェック/動画の学習サイト★3時間 ② 通勤往復 学習サイトのHTML/CSS(中級コース)★2時間 ③ 夜の部 動画の学習サイト★1.5時間/Webマーケティング読書
会社員をやりながら、1日6時間半。朝と、通勤の往復と、夜。
そして8月には、最初の問い合わせが来ます。9月には2件目。会社の同僚からも引き合いが回ってきました。
それでも私は、その年に会社を辞めていません。
会社を辞めたのは、ここから5年半あとです。この記事は、準備が進んでいたのに辞めなかった年の話になります。
1日6時間半、何を勉強していたのか
やっていたのはWeb制作でした。
HTMLとCSSを学べる学習サイトを2つ使って、朝に3時間、通勤の往復で2時間、夜に1時間半。日経新聞と投資情報のチェックが、その前に入ります。
続けられた理由は、時間を「作った」のではなく「置き換えた」からだと思っています。
朝の3時間は、それまで寝ていた時間。通勤の2時間は、それまでスマホを見ていた時間。夜の1時間半は、テレビの時間。新しく空けた時間は、ほとんどありません。
引っ越しで荷物を減らすのに似ています。捨てるものを探すより、同じ箱に何を入れ直すかを決めるほうが早い。私は箱の中身を入れ替えただけでした。
ただし、これは長くは続きませんでした。理由はあとで書きます。
1か月で、勉強の中身が変わった
7月10日に、私はこう書いています。
「プログラミングスキル:2割/マーケティング・営業力:8割」
学習を始めて1か月で、重心が動いていました。
理由ははっきりしています。作れるようになっても、仕事は来ないからです。
HTMLとCSSは、勉強すれば書けるようになります。けれど「書けます」と言える人は、すでにたくさんいる。そこに一人増えても、何も変わらない。
だから8月末には、こう書いています。
「営業もSNS運用も、プログラミングも全部、コバンザメ戦法や」
自分でゼロから作らず、すでに動いているものにくっついて動くという意味です。この考え方が、そのあとの受注につながっていきます。
誰に売るかを決めたら、問い合わせが来た
9月2日のメモが、いちばん具体的です。
「コロナ禍で、売り上げ落ちていて、職人気質でITリテラシーそこまで高くない業種が、狙いやな」
技術で選ばず、相手の状況で選んでいます。
- 売上が落ちていて、困っている
- Webに詳しくないので、比べる相手が少ない
- 職人気質なので、いいものを作れば長く続く
この絞り込みをした直後、8月20日にLP制作の問い合わせが入りました。しかも「LPデザインやライティングもお任せしてよいですか?」と聞かれています。
9月3日には2件目。受注の確度が高いところまで進みました。
さらに、会社の同僚から案件の引き合いも回ってきています。社内で私が何をやっているかを話していたら、「うちの取引先で困っているところがある」という話になった。
営業らしい営業は、ほとんどしていません。やったのは、誰に向けて何をやるかを決めて、それを周りに言っただけです。
作れないところは、人に頼んだ
ここが自分でも意外でした。
9月17日、私はこう書いています。
「Twitterで募集したら、あっさり、2人のデザイナーとつながった」
デザインは自分ではできません。それでも案件は動きました。必要だったのは、作る技術ではなく、作れる人を見つける手間だった。
前の年まで、私は「自分ができないから外注する」ことを弱みだと思っていました。実際、その少し前に「好きでもないし、できないので、外注します」と上司に言って、舐めてるよねと返されています。その話は昇進が決まった年に会社を辞めた記事に書きました。
違ったのは、外注する前に、自分が何をやるかを決めていたことでした。
それでも、辞めなかった
10月、私は上司に辞めますと伝えています。そして撤回しました。
不思議なのは、その時点で受注は進んでいたことです。案件がある。組める人もいる。にもかかわらず、聞かれて答えられませんでした。
いま振り返ると、答えられなかったのは「できるか」ではありません。「これを続けたいか」でした。
証拠は、その3週間後にあります。10月26日、同じ会社の人から仕事を頼まれたときに、私はこう書いています。
「おれ、Web制作は引退したと思ったんだけどな。笑」
受注できるようになった2か月後に、もう引退した気でいる。11月には動画に移っていて、12月にはまた別のことをやっています。
できるようになったのに、続けたくなかった。それが、あの年に辞めなかった理由です。
11月には、まったく別のことをやっていた
10月に撤回して、11月に何をしていたか。
YouTubeでした。夫婦と犬でキャンプに行く動画のチャンネルです。
しかも、やり方は前と同じでした。11月9日には「YouTube SEO」とタグ設定を調べ、11月19日には投稿が伸びる時間帯を「8:00-9:00/12:00-13:00/18:00-20:00」とメモしています。海外の人気キャンパーの設定まで見に行っている。
12月1日、チャンネル登録者は20人になりました。
熱心さは、まったく落ちていません。変わったのは対象だけです。Web制作から動画へ、2か月で移った。
ここが、あとから見ると分かりやすい合図でした。続けたいものなら、対象は変わらない。私はやり方を覚えるのが好きで、そのやり方を何に向けるかは、そのとき目についたものだった。
だから聞かれても答えられなかったんです。「何をやるのか」に対して、そのときの答えは持っていても、来年の答えを持っていなかった。
準備が足りなかったのではない
「副業がうまくいかなかったから、辞められなかった」と、私はしばらく思っていました。
違いました。うまくいっていたんです。少なくとも、始まってはいた。
足りなかったのは、時間でも、技術でも、案件でもありません。5年後に自分がそれをやっている姿でした。それが見えないと、いくら準備が進んでも、聞かれた瞬間に止まります。
5年後に辞めたときは、逆でした。やることは決まっていて、答えは用意できていた。だから引き止められませんでした。
準備の量ではなく、準備の向きの話だったのだと思っています。
同じことをやっている人へ
最後に、いま副業や独立の準備をしている方が使える形にしておきます。
| 確かめること | 見るところ |
|---|---|
| 時間は「作った」か「置き換えた」か | 新しく空けた時間が多いほど、続きにくい |
| 勉強の重心は動いたか | 作る技術だけが伸びているなら、売り先を先に決める |
| 誰に売るかは決まったか | 技術ではなく、相手の状況で選ぶ |
| できないところを頼めているか | 全部を自分でやる前提だと、進まない |
| 5年後、それをやっているか | ここに答えがないと、案件があっても止まる |
上の4つは、やり方の話。5つ目だけが、他人の答えを使えません。
私は上の4つを1年でクリアして、5つ目で止まった。そして5年かけて、5つ目に答えを出しました。
※この記事に書いた時期・内容は、当時の私自身の記録(メモとやりとり)で確認したものです。取引先の社名・案件の金額・見積りの内容は書いていません。
会社を辞めた話は昇進が決まった年に会社を辞めた記事、その12年前にも同じことが起きていた話は昇進試験と転職の面接を同じ月に受けた記事にあります。辞めたあとの手続きは退職後の健康保険の記事にまとめました。

