結論から言うと、私たちは13年間、家事の分担表を一度も作りませんでした。
そして、それで回っていました。
夫婦のLINEが13年ぶん残っています。件数は214,157件。2013年7月から2026年8月まで。この中を検索して数えてみたら、自分でも意外な結果になりました。
この記事に書くのは、その数字と、決めなかったのに回っていた理由です。そして最後に、決めないやり方が向かない場合も書きます。
※これは「分担表を作らないほうがいい」という記事ではありません。うちで起きたことの記録です。
まず、数えました
13年ぶんのメッセージを、言葉で検索した結果です。
| 検索した言葉 | 含まれていたメッセージ |
|---|---|
| 「分担」「当番」 | 37件 |
| うち、家事の分担を決めているもの | 0件 |
| 「ありがとう」系 | 5,268件 |
| 「ごめん」「すまん」系 | 2,732件 |
| 「洗濯」 | 140件 |
| 「掃除」 | 132件 |
| 「ゴミ出し」「ゴミ捨て」 | 53件 |
37件の「当番」は、全部が仕事の当番でした。朝礼の当番、土曜出勤の当番。家の中の当番は、1件も出てきません。
一方で、「ありがとう」を含むメッセージが5,268件。13年で割ると、1年あたり400件を超えています。
決めなかったのに、なぜ回ったのか
やりとりを読み返すと、型がひとつありました。
やった側が報告して、気づいた側が礼を言う。
例を出します。
2013年9月24日、妻から。
「昨日はお掃除ありがとうー たくさん助かりました」
2017年1月30日、私から。
「今日も朝から、食器洗いに、ゴミ捨てあっりがとー!! たっすかるー」
2016年10月27日、妻から。
「新聞とるの遅かった!! ゴミ出しおっけー!」
やったことを、わざわざ言っている。そして、それに対して返している。
読み返すと、報告と感謝で1往復ぶん増えていることに気づきます。効率だけ見れば、無駄です。
💡 でも、この無駄が仕組みだったと思っています。分担表は「誰の担当か」を先に決める道具ですが、報告と感謝は「何が終わったか」を後から共有する道具です。前者はカレンダーに似ていて、後者はレシートに似ている。うちは、予定表ではなく明細で管理していたわけです。
もうひとつ気づいたのは、報告の粒度です。
「お掃除ありがとう」ではなく、「食器洗いに、ゴミ捨て」と書いている。何をやったかが分かれています。
まとめて「家事ありがとう」だったら、たぶん13年もちませんでした。具体の名前がついているから、次に何が残っているかも分かる。
拾い方も、記録に残っていました
もうひとつの型が、その場での引き渡しです。
2014年6月13日、18時25分。私から。
「洗濯物取り込まねば…」
8分後、妻から。
「うん…帰って洗濯物とっておくわ」
私が気づいて、妻が拾っています。逆もあります。
2022年12月9日、私から。
「すまん! 先に洗濯頼む」
2014年5月8日、私から。
「晩御飯は、御手数かけちゃうけど、温めて食べるので、作り置きお願いしまーす」
先に決めてあったら、この会話は起きません。
代わりに、「今日は誰が空いているか」を毎回やっている。手間はかかりますが、その日の状況に合わせられます。
子どもが生まれても、やり方は変えなかった
ここは補足です。
2021年に子どもが生まれて、家の中の仕事は明らかに増えました。それでも、分担表は作っていません。
やり方が変わったのは1点だけ。「今どっちが手を離せるか」の確認が増えたことです。
赤ちゃんがいる家では、片方が抱いていると、その人は動けません。手が空いているかどうかが、日によってではなく分単位で変わる。
先に決めておく方式が、いちばん機能しにくい状況だったと思います。うちの場合は、たまたま元のやり方がそのまま使えました。
「ごめん」が2,700件あることの意味
数えていて、いちばん考えさせられたのがここでした。
「ごめん」「すまん」を含むメッセージが2,732件。
分担が決まっていないと、取りこぼしが起きます。ゴミの日を忘れる。洗濯物を出しっぱなしにする。晩ごはんを作れない日がある。
そのたびに、謝っている。
5,268件の「ありがとう」と、2,732件の「ごめん」。この2つがセットで存在しているのが、うちのやり方の実態です。きれいな話ではありません。
分担表があれば、この2,732件のうち何割かは発生しなかったはずです。
決めないやり方が向かない場合
正直に書きます。うちのやり方には、条件がありました。
1つめは、2人とも、連絡をよく取っていたこと。13年で21万件です。1日あたり45件。この量のやりとりが前提になっています。
2つめは、どちらかが「気づく側」に固定されていなかったこと。私が気づいて頼む日もあれば、妻が気づいて動く日もある。片方だけが気づき続ける関係だと、この方法は成立しません。
3つめは、やったことを言葉にするのが、お互い苦にならなかったこと。
この3つが揃わない家庭のほうが、たぶん多いと思います。共働きで、勤務時間帯がずれていて、連絡は必要最低限。その状態で「気づいた人がやる」を続けると、気づきやすい側に全部が寄ります。
💡 3つめは意外と大きいと思っています。分担表は、言葉にしなくても済むようにする仕組みです。「言わなくても分かってほしい」がしんどい人にとっては、表があるほうが優しい。うちは「言うのが平気な2人」だっただけで、それが正しいわけではありません。
片方が黙って我慢していたら、この方法は最悪です。やった量は見えないまま、「ありがとう」だけが減っていきます。
うちで機能した4つのやり方
ここからは、使える形にしておきます。分担表を作るかどうかは、各家庭の判断です。そのうえで、うちで実際に効いたものだけ挙げます。
| やり方 | 中身 |
|---|---|
| やったことを、その場で言う | 「ゴミ出しおっけー」で十分。報告が、そのまま記録になる |
| 気づいた側が、先に声を出す | 「洗濯物取り込まねば」。自分でやるとは言っていないのがポイント |
| 頼むときに、理由を添える | 「御手数かけちゃうけど、温めて食べるので」。断りやすくなる |
| 礼を、その日のうちに返す | 翌朝でもいい。まとめて言わない |
いちばん効いたのは、2行目だと思っています。
「洗濯物取り込まねば」は、頼んでいるようで頼んでいない。形は独り言です。だから、相手は無視してもいいし、拾ってもいい。
頼まれると断りにくいけれど、つぶやきなら断れる。この差が、13年ぶんの積み重ねになると、たぶん大きいです。
そして、言わないと何も起きません。分担表がない家では、気づいたことを声に出す人がいるかどうかが、全部だと思っています。
13年で21万件というのは、たぶん多いほう。同じ量のやりとりをしなさい、という話ではありません。
数えてみて分かったのは、うちは「決める」の代わりに「言う」を選んでいたということでした。どちらもコストがかかります。決めるのは最初に一度、言うのは毎日少しずつ。
自分たちがどちらの払い方に耐えられるか。そこを先に話すほうが、分担表の中身を決めるより早いかもしれません。
※この記事は、わが家のLINEに残っていた記録をもとにしています。家族の名前は書いていません。件数はメッセージ本文の検索結果で、家事の実行回数そのものではありません。どちらの分担方法がよいという評価をするものではありません。
共働きのお金の分け方については共働きの家計の記事に書いています。

