仕事・キャリア

有給を、ほとんど使わずに辞めました(日数は記憶です)

18年勤めて辞めるとき、有給をほとんど使いませんでした。残日数の記録は残っていないので日数は書けません。制度は労働者側に寄っているのに、なぜ使わなかったのか。付与・時効・買い上げ・退職間際の申請を一次資料で整理します。

卓上のカレンダーに手で日付を書き込んでいるイメージ

先に、書けないことを書きます。

私は、退職時に有給が何日残っていて、そのうち何日使ったかを、正確に言えません。

夫婦のLINEを13年ぶん全部検索しました。「有給」「有休」「年休」で出てきたのは51件。そのどれにも、残日数も、消化日数も、買い取りの有無も書かれていませんでした。

だから、この記事の数字は記憶です。ほとんど使わずに辞めた。そこは間違いありません。ただ、何日だったかは書けない。

※日数を書いていないのは、確認できなかったからです。うろ覚えの数字を、確認できた数字のように書くことはしません。

ただ、6年前の記録は残っていました

2020年10月2日。私は一度、会社に辞めると伝えています。そのときのLINEです。

「ちょっと時間いいっすかー?

12月末の出社最後でやめますー」

そして、その直後。

「1月は有給なので、いかないのでー。

これだけや!笑」

1か月まるごと有給消化する前提で話しています。

このときの退職は、17日後に撤回しました。詳しくは17日で撤回した話に書いています。

そして、実際に辞めたのは、その5年半後でした。そのときは、1か月の有給消化をしていません。

同じ人間が、同じ会社を辞めるのに、1回目は使う気満々で、2回目はほとんど使わなかった。この差が、この記事のいちばん面白いところだと思っています。

制度としては、どうなっているのか

自分の話の前に、制度を整理します。ここは一次資料で確認しました。

年次有給休暇は、いつ、何日もらえるのか

雇入れの日から6か月継続勤務して、全労働日の8割以上出勤すると、10労働日が付与されます(労働基準法39条1項)。

そのあとは、勤続年数に応じて増えていきます。

勤続付与日数の増え方
6か月〜1年6か月未満10労働日
1年6か月〜3年6か月未満毎年1日ずつ加算
3年6か月以降毎年2日ずつ加算(上限20日)

出典:厚生労働省「確かめよう労働条件|年次有給休暇」

使わなかった有給は、いつ消えるのか

2年です(労働基準法115条)。

2020年4月に労働基準法の消滅時効が見直されましたが、年休については2年のままとされました。

そして、ここが大事なところ。就業規則で「翌年度への繰越は認めない」と定めても、権利そのものは消えません。

出典:厚生労働省「年次有給休暇権の時効は?」

年5日は、会社が取らせる義務がある

2019年4月から、10日以上の年休が付与される労働者については、基準日から1年以内に5日以上取らせることが会社の義務になりました(労働基準法39条7項)。

違反した場合、30万円以下の罰金です。

出典:厚生労働省「確かめよう労働条件|年次有給休暇」

残った有給は、お金に換えてもらえるのか

原則として、できません。

年休の目的は休むことなので、買い上げる代わりに休めなくなっては意味がないという考え方です。買い上げの予約をして、請求できる日数を減らすこともできません。

例外は、法定日数を上回るぶん。会社が独自に上乗せしている年休については、買い上げても違法にはならないとされています。

出典:和歌山労働局「事業主の方へ」/鹿児島労働局「年次有給休暇 Q8」

退職間際の申請は、断られるのか

断れません。年休は労働者の権利なので、退職間際の申請であっても拒めない、というのが行政の説明です。

ただし、引き継ぎが必要な場合は、退職日そのものを後ろにずらす形で話し合うことが実務上すすめられています。

出典:和歌山労働局「事業主の方へ」

💡 整理すると、制度はかなり労働者側に寄っています。時効はあるけれど、就業規則で消すことはできない。買い上げは原則できないぶん、休ませる方向に力が働く。退職間際でも断れない。壊れた傘を返品するのではなく、傘そのものを使わせる制度なんです。

では、なぜ私は使わなかったのか

ここからは私の話です。制度が使わせてくれなかった、という話ではありません。

会社は、むしろ促してきていました。辞める3か月前の記録です。

2026年1月5日。

「そして今日は有休奨励日でもなんでもなかった」

「ただ、有給とってもらっていいですよ という、謎の通達だった」

取っていいですよ、と言われています。それでも取っていません。

理由は、いま振り返るとこうです。

1つめは、引き継ぐ相手のことを考えていたから。18年いた部署で、私が持っていた案件と関係先が、そのまま誰かに移ります。まとめて1か月消えると、その人が困る。

2つめは、次の準備のほうに気が向いていたから。辞めたあとは自分で事業をやると決めていました。有給で1か月休むより、先に動くことのほうが大事だと思っていた。

3つめが、いちばん正直なところです。自分の権利を主張するのが、うまくありません。

これは制度の話ではなく、私の性格の話です。

2020年と2026年で、何が違ったのか

同じ人間なのに、1回目は「1月は有給なので、いかないので」と言えています。

違いは、たぶん辞め方でした。

2020年は、思いつきに近い辞め方でした。軽いノリで伝えて、あとから条件を考えている。だから有給も、まず自分の取り分として計算に入っている。

2026年は、準備してから辞めています。法人を先に作って、全部整えてから伝えました。準備した側は、周りへの影響も見えてしまう。

見えると、遠慮が生まれます。

💡 これは損得でいえば、明らかに損をしています。有給は労働の対価として積み上がったもので、使わなければそのまま消える。貯めたポイントを、有効期限の日に使わずに帰るようなものです。それでも私はそうしました。同じことをすすめるつもりはありません。

使い切って辞めたい人が、先にやること

ここからは、使える形にしておきます。私は使い切らなかった側の人間です。その前提で読んでください。

やること理由
残日数を、辞めると伝える前に確認する交渉のあとだと聞きにくくなる。給与明細か勤怠システムに出ていることが多い
「最終出社日」と「退職日」を分けて言う有給消化は、この2つのあいだに入る。分けて話すと、日程が組みやすい
引き継ぎ計画を、先に紙で出す遠慮の正体は「迷惑をかけること」。計画があれば、遠慮する理由が減る
買い上げを前提にしない原則として買い上げはできない。当てにすると、使う機会を逃す
時効が2年であることを知っておく繰越禁止の規定があっても、権利は消えない。残っているなら、残っている

いちばん効くのは、2行目。

「いつ辞めますか」と聞かれて日付を1つ答える。すると、その日が退職日にも最終出社日にもなってしまう。

「最終出社は◯月◯日、退職日は◯月◯日で考えています」と最初から2つ言えば、あいだの日数が、そのまま有給消化の期間になります。

2020年の私は、それを自然にやっていました。「12月末の出社最後」「1月は有給」と、2つに分けて伝えている。

5年半後の自分は、それをやらなかった。

準備を重ねたぶん、言いにくくなった。慣れていないことは、練習した年より、本番の年のほうが下手になることがあります。

※この記事の日数は記憶です。残日数・消化日数を示す記録は残っていません。制度部分は厚生労働省および労働局の資料で確認しましたが、個別の適用は就業規則と契約によって変わります。判断に迷ったら、勤務先か労働基準監督署に確認してください。

辞めるまでにやったことの順番は18年勤めた会社を辞めるまでの順番に、退職後の健康保険は3つの選択肢と期限に書いています。

この記事の制作について

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