結論から言うと、会社を辞めたあとの健康保険は、次の3つから選ぶことになります。
- 退職した会社の健康保険を、自分で続ける(任意継続)
- 住んでいる市区町村の国民健康保険に入る
- 家族の健康保険の被扶養者になる
そして、どれを選ぶにしても期限があります。任意継続は20日以内、国民健康保険は14日以内。この日数を過ぎると、選べたはずのものが選べなくなる。
私は2026年4月に18年勤めた会社を辞めて、任意継続を選びました。実際に用意した書類も残っています。この記事に書くのは、3つの違いと期限、それに私がどう決めたか。
※この記事は2026年8月時点の公表内容に基づきます。保険料や必要書類は、加入していた健康保険や、住んでいる市区町村によって変わります。最終的な確認は、ご自身の加入先へ。
退職後の健康保険は、何を選ぶことになるのか
会社員でいるあいだ、健康保険料は会社と半分ずつ払っています。辞めると、その仕組みから外れます。
傘に似ています。会社にいるあいだは、会社が半分持ってくれる傘を差していた。辞めるときに、その傘は返すことになる。だから自分で買い直すか、同じ傘を自費で借り続けるか、家族の傘に入れてもらうか。雨が降るかどうかとは関係なく、傘は要ります。
選択肢は3つです。
| 選択肢 | 中身 |
|---|---|
| 任意継続 | 退職した会社の健康保険を、自分で2年間続ける |
| 国民健康保険 | 住んでいる市区町村の保険に入る |
| 家族の被扶養者 | 家族が加入している健康保険に、扶養として入れてもらう |
次の勤務先の健康保険に日を空けずに入る場合は、この3つを考える必要はありません。
なぜ「何もしない」が選べないのか
日本には国民皆保険の仕組みがあり、どこかの公的医療保険に入っていることが前提になっています。会社の保険から抜けたあと何もしないと、そのあいだの医療費は全額自己負担。
しかも、あとから国民健康保険に入っても、保険料は資格ができた月までさかのぼって請求されます。先延ばししても払う額は減りません。
「しばらく病院に行かないから大丈夫」は通りません。行かないことを選べるのは、病気にならないと分かっている場合だけ。
3つは、どこが違うのか
| 項目 | 任意継続 | 国民健康保険 | 家族の被扶養者 |
|---|---|---|---|
| 期限 | 退職日の翌日から20日以内 | 14日以内 | 加入先の指定による |
| 保険料 | 自分で全額(会社負担分がなくなる) | 前年の所得などで市区町村が計算 | かからない |
| 扶養 | 家族を扶養に入れられる | 扶養という考え方がなく、世帯の人数分かかる | — |
| 期間 | 2年間 | 制限なし | 条件を満たすあいだ |
| 窓口 | 退職した会社の健康保険(協会けんぽ・健保組合) | 市区町村 | 家族の勤務先を通じて |
出典:協会けんぽ「任意継続」/厚生労働省「国民健康保険の加入・脱退について」
いちばん安いのがどれかは、人によって違います。任意継続は退職時の給与で決まり、国民健康保険は前年の所得で決まる。扶養に入れる家族が何人いるかでも変わります。だから「一般に任意継続が得」とは言えない。両方の見込み額を出して、比べる。それが確実です。
💡 見込み額の出し方:任意継続は、退職した会社の健康保険に問い合わせれば教えてもらえます。国民健康保険は、市区町村の窓口で前年の所得をもとに試算してもらえます。どちらも退職前に聞ける。辞めてから慌てないためには、この2つを先に取っておくとよいでしょう。
任意継続は、いつまでに手続きするのか
協会けんぽの記述はこうです。
- 加入の条件:退職日までに被保険者期間が継続して2か月以上あること
- 申請期限:退職日の翌日から20日以内(20日目が土日祝日の場合は翌営業日)
- 加入できる期間:2年間
郵送の場合は「20日以内に必着するよう」とあります。消印ではなく、到着で見られます。
保険料は、いくらになるのか
協会けんぽの説明では「退職時の健康保険料の2倍となります。ただし、上限があります」。
そして「退職時の標準報酬月額が32万円を超えていた場合は、標準報酬月額は32万円で計算します」とされています。
会社が半分払っていた分がなくなるので2倍、というのが基本の考え方です。ただし上限があるため、給与が高かった人ほど「2倍よりは抑えられる」ことになります。
納付期限は毎月10日まで。ここが重要で、納付期限までに納めなかったときは資格を喪失します。うっかりが効かない仕組み。
※上に挙げた「2倍」「32万円」は協会けんぽの数値です。企業の健康保険組合に入っていた方は、組合ごとに扱いが違います。私自身も健保組合でした。ご自身の組合に確認してください。
国民健康保険は、いつまでに届け出るのか
厚生労働省のページには、「被保険者となったとき、脱退するときなどは、14日以内に、お住まいの市町村の国民健康保険の窓口まで関係書類を提出する必要があります」とあります。
必要書類については「お住まいの都道府県・市町村や国民健康保険組合のホームページ等をご確認ください」とされていて、全国共通のリストは示されていません。市区町村によって違います。
ただ、どの自治体でも共通して求められるのが、前の健康保険を抜けたことの証明です。「健康保険資格喪失証明書」といった名前の書類で、退職した会社か、その健康保険から出してもらいます。
家族の被扶養者に入るには、何が要るのか
ここは、私が実際に受け取ったものを載せます。家族の勤務先を通じて審査があり、書類が要る。
私が案内された必要書類は、次のとおりでした。
- 健康保険 被扶養者異動(増)届
- 続柄が記載されている世帯全員の住民票(マイナンバーの記載がないもの)
- 退職が確認できる書類(退職証明書、退職時の源泉徴収票、離職票など)
- 雇用保険(失業給付)に係る誓約書、または雇用保険受給資格者証
失業給付を受けるかどうかで、出す書類が変わります。受給する場合は雇用保険受給資格者証が要り、これは後日提出でも受け付けてもらえて、それまでは仮の保険証が出る、という案内でした。
※これは私が案内された1件の内容です。健康保険組合ごとに違います。扶養に入れる収入の基準も含めて、家族の勤務先の健康保険へ確認を。
では、私はどう決めたか
ここからは私の話です。
私は2026年4月に退職して、任意継続を選びました。妻と子どもを、その扶養に入れる形にしています。
決め手は、比べた結果でした。国民健康保険にした場合の額を試算したところ、世帯で見るとかなりの負担になりそうだった。一方、任意継続なら家族を扶養に入れられるので、人数が増えても保険料は変わらない。そこが分かれ目でした。
ただ、決めるまでの実務は地味。
妻は先に、子どもを自分の勤務先の扶養へ一時的に入れる手続きをしています。私の退職日と、家族の予定にずれがあったから。そのために「離職が証明できるもの」「扶養から外れた証明書」を集めることになりました。私のほうも、退職証明書のコピーを渡しています。
書類が、あちこちに散らばるんです。退職証明書、源泉徴収票、資格喪失証明書。どれも「必要になってから頼む」と時間がかかります。
辞める前に、もらっておくもの
最後に、先に手を打てるものを挙げておきます。在職中か、退職の手続きのときにまとめて頼むのが確実です。
- 退職証明書(扶養の審査でも、国民健康保険の届出でも使う)
- 退職時の源泉徴収票
- 健康保険資格喪失証明書
- 離職票(失業給付を受けるなら。ハローワークの手続きに要る)
- 過去の源泉徴収票のコピー(手元に無ければ)
私の場合、これらを頼むタイミングがばらばらになって、そのぶん確認のやりとりが増えました。一度にまとめて頼めるものは、まとめて頼んだほうが早いです。
2026年の保険証は、どうなっているか
紙の健康保険証は、2024年12月2日以降、新たに発行されなくなりました。有効期限が残っていたものも2025年12月1日で終了し、期限切れの保険証を受け入れる経過措置も2026年7月31日で終了しています。
いまはマイナ保険証が基本。持っていない場合は「資格確認書」が交付されますが、厚生労働省の説明では申請によらず、無償で交付されるとされています。
出典:厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用(マイナ保険証)について」
保険が変わると、資格の情報も変わる。手続きが終わるまでのあいだ、医療機関でどう扱われるかは加入先に確認しておくと安心です。
※この記事の制度説明は2026年8月時点の公表内容に基づいています。制度は変わります。手続きの前に、最新の情報をご確認ください。
会社を辞めるまでに何をどの順番でやったかは昇進が決まった年に会社を辞めた話、辞める年の税金の調整はふるさと納税の記事に書きました。転職を考えている方は職務経歴書の記事もどうぞ。

