結論から言うと、私が書いた挨拶文は長すぎました。
家を売ることにして、内見の日に部屋へ置く手紙を用意しました。私が下書きをして、妻が書き直しています。残っている2つを並べると、長さが3分の1になっていました。
内見をする側の記事は多いのに、迎える側の準備はあまり見かけない。LINEに残っていた記録のまま書きます。
※マンション名、社名、担当者名、金額は書いていません。
売ると決めてから、内見までの順番
日付を並べます。
| 日付 | できごと |
|---|---|
| 2022年4月16日 | 「来週の日曜日、内見入りました」 |
| 2022年7月28日 | 「本格的に売却目指す」 |
| 2022年7月31日 | 専任媒介契約を結ぶ |
| 2022年8月25日 | 内見の準備を書き出す |
| 2022年8月29日 | 挨拶文が書き直される |
4月に1件目の内見があって、本格的に動き出したのは7月末です。
間の3か月で何をしていたかというと、次の住まいの話を並行して進めていました。売る話と買う話が同時に走っている状態でした。
最初の内見は、売ると決める前に迎えていた
表の1行目と2行目のあいだが、3か月半あります。
2022年4月16日に内見が入って、「本格的に売却目指す」と書いたのが7月28日です。最初の内見は、売ると決めきらないまま迎えていました。
このときは手紙もない。花も置いていない。何を聞かれるかも考えていませんでした。売るかどうかを自分で決めていないので、準備のしようがなかった。それが正直なところです。
決めたあとの内見と、決める前の内見では、こちらの動きがまったく違いました。8月に3つのメモを書き出せたのは、7月末に腹をくくったからだと思います。
💡 受けると決めていない試験の勉強に似ています。やる意味が自分の中で決まっていないと、手は動かない。順番として、決めるのが先でした。
準備として書き出したのは、3つだけ
2022年8月25日、私はこう書いています。
「来週月曜も内見だな」
そのあとに続くメモが、こうでした。
- 見に来る人の家族構成を、事前に聞いておく
- リビングに花を飾っておく
- 近所づきあいについて、書き置きを残す
掃除の話が1行も入っていません。
掃除は前提として済ませていて、そのうえで何を足すかを考えていました。いま見ると、3つとも「部屋の性能ではないもの」です。
💡 中古品を売るときの写真に近いと思っています。同じ品物でも、置き場所と背景で受け取り方が変わる。部屋そのものは動かせないので、動かせるところだけ触っていました。
私が書いた下書きは、長かった
同じ日、私は挨拶文の下書きを書いています。
書き出しはこうでした。
「本日は、内見にお越しいただき、ありがとうございます!」
そこから、転居の理由、部屋の広さ、角部屋であること、バルコニーのこと、夏の花火のことまで続きます。アピールポイントを、思いつくだけ並べていました。
自分では良い文章のつもりだった。熱量はある。ただ、読む人のことは考えていませんでした。
妻が書き直したものは、5行だった
4日後の8月29日、妻から届いたのがこれです。
「本日は内見ありがとうございます!
一階の角部屋なので騒音も気にせずバルコニーが広くプライベート感がある所が気に入ってます!
お隣も真上のご近所さんもとっても優しくて良い方ばかりです!!
ご縁あれば、よろしくお願いします。」
同じ内容が、5行になっていました。
減ったのは、こちらの事情の説明です。なぜ引っ越すのか、どこが自慢か、いつが良い季節か。全部こちらの話でした。
残ったのは3つです。角部屋であること。近所の人のこと。そして最後の1行。
💡 求人票と面接の関係に似ていると思いました。書いた側が伝えたいことと、読む側が知りたいことは、たいてい一致しない。私の下書きは求人票で、妻の文章は面接の受け答えでした。
「ご縁あれば」が、いちばん効いていたと思う
いま読み返して、いちばん強いのは最後の1行だと思っています。
「ご縁あれば、よろしくお願いします。」
売る側が押していないことが伝わる。押されると、見に来た人は引きます。ここは中古品の取引でも同じでした。
私の下書きには、この行がありません。代わりに、花火の話が入っていました。
削ることでしか出せない印象がある、というのがこのときの学びです。
近所づきあいを書いたのは、正解だったと思う
3つのメモのうち、いちばん残ったのがこれでした。
「お隣も真上のご近所さんもとっても優しくて良い方ばかりです!!」
内見では、部屋は見られます。ただ、住んでみないと分からないことは見られません。買う側がいちばん不安なのは、確認できない部分です。
図面にも、資料にも、この情報は載りません。売る側しか書けないところでした。
価格を決める順番を、間違えていました
手紙が書き直された8月29日、私は同じ日にこうも書いています。
「売却価格設定時は、3,000万控除と、低炭素減税の住宅ローン控除の試算必須だったな」
「だったな」と書いているとおり、これは後から気づいたことです。
売り出す価格は、最後に手元にいくら残るかまで見ないと決められない。税の扱いによって、同じ売値でも残る額が変わります。私はそこを確かめる前に、価格の話を進めていました。
手紙は数十分の作業で、価格の判断はその何百倍もの重さがある。先にやるべきだったのは、明らかにこちらです。
💡 レシートを家に帰ってから見るのに似ています。払う前に見れば選べたものが、払ったあとでは見るだけになる。
※税制の中身はこの記事では扱いません。適用の可否は条件によって変わるため、実際の判断は国税庁の資料と税理士に確認してください。
レインズに載ったのは、契約から6週間後だった
7月31日に専任媒介契約を結んで、レインズへの掲載を確認したのは9月12日です。
その6週間、私は掲載されているかどうかを一度も見ていませんでした。
売り出し方の説明は受けていて、そのうえでの進め方でした。ただ、いつ何が公開されるのかを自分で把握していなかったのは、私の側の落ち度です。手紙の文面は4日かけて直したのに、掲載の状態は6週間見ていない。
💡 送った荷物の追跡番号に近いと思っています。渡したあとでも、どこまで進んだかは自分で見られる。見なかっただけでした。
内見のあとに、次の手を並べていた
売る準備と同時に、決まらなかった場合の手も動かしています。
2022年10月25日、私はこう整理していました。
- 基本線は仲介による売却
- 同時に業者買取も進める
- 賃貸での広告出稿は補助的に
- それぞれの期限を先に決める
1本に賭けていません。
内見の手紙は、このうち1本目の中の、さらに一部です。時間で言えば数十分の作業でした。それでも、やる価値はあったと思っています。
💡 傘を持って出るかどうかの判断に似ています。降らない可能性が高くても、持って出るコストが小さいなら持って出る。5行の紙を1枚置くのは、それくらいの手間でした。
使える形にしておきます
売る側として、次にやるならこうします。
| やること | 理由 |
|---|---|
| 掃除は前提として、そのうえで1つ足す | 花でも書き置きでも、部屋の外の情報になるもの |
| 挨拶文は、書いたあとに半分にする | こちらの事情の説明から先に削れる |
| 確認できない情報を書く | 近所づきあい、日当たりの時間帯、音の感じ方 |
| 最後は押さない | 「ご縁あれば」で止める |
| 書く人と直す人を分ける | 私の下書きは、私では短くできなかった |
| 売ると決めてから内見を受ける | 決めていないと、準備そのものが思いつかない |
| 掲載の状態を自分で見る | 媒介契約のあと、いつ何が公開されるかを追う |
| 価格は手元に残る額から逆算する | 売値だけ見て決めると、あとで試算し直すことになる |
いちばん効いたのは、5行目かもしれません。
自分で書いた文章を自分で削るのは難しい。妻が書き直したから3分の1になりました。家を売る話は仲介と買取と賃貸を同時に動かした記事にも書いています。
内見の日に置いたのは、5行の紙1枚です。準備としては、それで足りていました。
※この記事は、わが家のLINEに残っていた記録をもとにしています。マンション名、社名、担当者名、金額、買主の情報は書いていません。売却の進め方は物件や地域によって異なります。

