結論から言うと、私は収益物件を買う前に、1軒目の条件を紙に書きました。そして2日後に、書き直しています。
書いたのが2023年3月17日。書き直したのが3月19日。中身は、はっきり変わっていました。
この記事に書くのは、その2枚と、2日で何が変わったか。不動産投資の勧めではありません。当事者の記録です。
※私は不動産の専門家ではなく、買った側の一人です。家賃と利回りの実額、取得価格は書きません。物件が特定されるからです。
1枚目(3月17日)
原文です。
「不動産投資目標 ◆経済的な自由を手に入れ、場所と時間を問わず働いて稼げる仕組みの構築」
朝の8時27分に書いています。
【ポイント】
- リスクは極力減らす
- 事業としては長期的に拡大させる
- 税制面で優遇が得られるような物件を買い仕組みを構築する
【1軒目購入ポイント】
- 銀行融資金額はMAX(連帯保証OK、好条件金利で買える物件を軸に選ぶ、資産管理法人設立)
- 事業拡大という観点から、2棟目購入に移行しやすい物件を選びたい
以上です。これで全部でした。
いま読むと、買う物件を決めるには足りません。「リスクは極力減らす」と書いてありますが、何がリスクかが書いていない。
2枚目(3月19日)
2日後の夜18時54分。同じ見出しで、もう一度書いています。
増えたのは4か所でした。
| 増えた項目 | 中身 |
|---|---|
| リスクの定義 | 「自分たちが最大限に感じるリスク:売りにくい、売れない」 |
| エリア | 「土地勘のあるエリアが希望」。ただし「優先度は、お話を伺う中で低くなっており、それより投資効率が優先度は高い」 |
| 新築を外す理由 | 「マネタイズできるまでに期間を要するので、1軒目で新築は得策でないと感じたため」 |
| 出口 | 「6-7年程度の中長期で売り抜けられるような物件を選びたい」 |
2日のあいだに、人に会っています。
エリアの項目に「お話を伺う中で」と書いてあるのが、その証拠です。自分の希望を書いた翌々日に、その希望の優先度を自分で下げている。
💡 1枚目と2枚目のいちばん大きな差は、「何を捨てるか」が書かれたことです。1枚目は欲しいものだけ。2枚目には「エリアは諦める」「新築はやらない」が入りました。買い物の条件は、欲しいものを並べても決まりません。服を選ぶときと同じで、「これは着ない」を決めたほうが早い。
「合理的な理由はない」と、自分で書いている
2枚目でいちばん覚えているのが、この一文です。
出口を6〜7年と書いたあとに、こう続けています。
「ここに関しては、合理的な理由はない。ただ、不動産投資の成功体験を早い段階で獲れれば、自分たちにもプラスに働くのではないかと感じるため」
根拠がないことを、根拠がないと書いています。
いま読んで、ここがいちばん良かったと思っています。理由をあとから作らなかった。数字で説明できないものを、説明できないまま条件に入れた。
書いていなければ、あとで「相場から見て妥当だから」などと言っていたはずです。
そもそも、なぜ紙に書いたのか
その少し前、3月1日に私はこう書いています。
「調べれば調べるほどに、不動産って面白いよね。というのが、2人の一致した意見です」
面白い、が最初でした。目標より先に、興味がある。
ただ、面白いだけで買うと、目の前の物件が全部よく見えます。実際、この時期に検討したものを並べると、種類がばらばらです。
- 一棟のアパート
- 戸建ての賃貸
- 平屋を直して貸す案
- 軍用地(土地を持って国から賃料を受け取る形。相続税評価額が下がる、という説明を受けた)
軍用地まで見ています。性質がまったく違うものが、同じ表に並んでいた。
条件を紙に書いたのは、この状態を止めるためでした。物差しがないと、比べられません。面白いかどうかは、物差しになりません。
決めるまでに、何を見たか
4月のひと月だけで、少なくとも5件を具体的に検討しています。エリアも都県をまたいでいます。
見送ったものの理由は、だいたいこの3つでした。
- 売りにくい(1枚目には書けていなかったリスク)
- 建て替えや用途変更ができるか分からない
- 自分たちの管理の手が届かない場所にある
3つ目は、条件の紙には書いていません。見に行って、はじめて出てきたものです。
紙に書いた条件は、現地で増えます。そこは、書いた時点では分かりませんでした。
見送った物件を、現地で見たときのメモ
3月26日、紹介された一棟を現地で見ています。この物件は、結局買っていません。そのときのメモが、これです。
- よかった点:住んでいる人が多く、周辺も静かなエリア。築31年だが外観は比較的きれい
- ポストが劣化していて目立つ位置にあるので、交換すれば古い印象が減る
- 気になる点:木造で減価償却期間が短く、売却前にデッドクロスが起きる
- 気になる点:取り壊して、新しい建物を建てられるか
「ポストが古い」と「デッドクロス」が同じメモに並んでいます。見た目の話と、税金の話。どちらも自分の目で見て書いたものです。
買うと決めてからの流れ
実際に買ったのは、翌月に出てきた別の物件です。条件が決まっていたので、そこからは速く進みました。
| 時期 | やったこと |
|---|---|
| 3月17日・19日 | 条件を書く |
| 3月26日 | 紹介された物件を現地で確認(見送り) |
| 4月20日 | 市役所で確認する項目を洗い出す |
| 4月24日 | 正式に買い付けを依頼。契約から引渡しまでの流れを先に確認 |
| 5月10日 | 購入申込が決着。翌日に本契約と手付金 |
| 6月 | 引渡し |
4月20日、私はこう書いています。
「物件取得前に市役所に、将来的に市街化調整区域から外れるかの確認や、アパート取り壊して戸建てを建てるのは可能かを確認」
買う前に、役所に聞く。これは自分では思いつかず、人に教わったことです。
※市街化調整区域・再建築の可否は、物件ごと・自治体ごとに扱いが違います。私が確認したのは私の物件についてであって、一般論として書けません。買う予定があるなら、その物件の所在地の自治体に直接確認してください。
そして4月24日、契約の流れを先に整理しています。買い付け → 5月に売買契約とローン本申込み → 6月に引渡し。そのメモにはこう書いてあります。
「※このタイミングで、再建築不可であれば没になる」
没になる条件を、先に書いてありました。
うまく書けていなかったところ
正直に書きます。1枚目にあった「税制面で優遇が得られるような物件」は、中身が空でした。
何の税で、どう優遇されるのか。書いていません。実際、そのあとの検討でこの項目が判断に使われた形跡がありません。
言葉として立派なだけの条件は、条件として働かない。これも、あとから分かったことです。
いま同じことをやるなら
使える形にしておきます。
| 書くこと | 理由 |
|---|---|
| 自分にとってのリスクを、言葉で定義する | 私は「売りにくい、売れない」だった。人によって違う |
| 捨てるものを書く | 欲しいものだけでは決まらない |
| 根拠がない条件は、「根拠がない」と書く | あとで理由を作らずに済む |
| 没になる条件を先に書く | 進んでから気づくと、止められない |
| 日付を入れて、書き直す | 2日で変わった。変わった記録が残る |
いちばん効いたのは、5行目でした。
1枚しか書いていなければ、私は「最初から投資効率で選んだ」と思い込んでいたはずです。2枚あるから、2日前まではエリアで選ぶつもりだったと分かる。
自分の判断がいつ変わったかは、そのとき書いたものしか教えてくれません。
※この記事の日付と文面は、私自身の当時の記録です。取得価格・家賃・利回りの実額、物件の所在地は書いていません。税制・都市計画の扱いは物件と自治体ごとに違います。私は勧める立場にありません。
家を買ったときの話は住宅ローンと転職の順番の記事、住むための家をどう考えたかは持ち家か賃貸かの記事にあります。

